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 非接触温度計(放射温度計)選定のポイント①

「波長」

非接触温度計(放射温度計)は物体が発している赤外線を受光し、その赤外線の量を温度に変換しています。
非接触温度計(放射温度計)は機種によって受光できる赤外線の「波長」が異なるため機種選定には「波長」の性質について理解する必要があります。

「波長」の性質

あらゆる物体は、様々な長さ(波長)の赤外線を放射していますが、「物体の温度」や「物体の材質」によって、特定の波長が強く放射されたり、弱く放射されるといった性質があります。

「物体の温度」と波長の関係

例えば、温度が高いものは短い波長の赤外線エネルギーが強くでますが、温度が低いものはほとんど出ていません。
このように物体の温度により波長の赤外線エネルギーは変化します。
温度・波長・赤外線エネルギーの関係性を詳しく表したのが下記の図になります。
高温になるほど短波長の赤外線エネルギーの放射が強くなり、低温ではほぼありません。
一方、長波長は低温から高温にかけて一定の弱い赤外線エネルギーを放射していることがわかります。
それでは次に、実際の材質による波長ごとの「放射率」の違いを確認していきます。

「物体の材質」と波長の関係

「放射率」とは、波長がどのくらいの赤外線エネルギーを放射しているかを表す指標です。
放射率が1に近づくにつれて測定しやすく、逆に放射率が「0」では温度測定は不可能となります。
物体から放射される赤外線のうち、どの波長を測定するのが最適かという判断材料として、この「放射率」が使用されます。 その他にも赤外線の「反射」や「透過」といった性質も波長選択の重要な判断材料になるので、次回以降にご紹介していきます。
下記は、それぞれの材質とその状態における、1.0μm、5.1μm、8~14μmの波長の放射率を表しています。
放射率表
  放射率
波長 1.0μm 5.1μm 8~14μm
アルミニウム 非酸化 0.1~0.2 0.02~0.2 0.02~0.1
研磨 0.1~0.2 0.02~0.1 0.02~0.1
粗面 0.2~0.8 0.1~0.4 0.1~0.3
酸化 0.4 0.2~0.4 0.2~0.4
非酸化 0.34 0.05~0.25 0.05~0.2
  0.5~0.8 0.5~0.7
酸化 0.7~0.9 0.6~0.9 0.5~0.9
鋳造、純化 0.9 0.9 0.9
溶融 0.35    
ガラス   0.98 0.85
溶融   0.9  
ゴム   0.9 0.95
※放射率は様々な条件(温度、表面の形状等)によって変わるため、記載の内容と異なる場合がございます
 は、他の波長より比較的放射率が高く、測定に適しているということを表しています。 材質ごとに測定に適した波長をまとめると下記になります。
上記を参考に、温度を測定したい材質に適した測定波長の非接触温度計(放射温度計)を選定するようにしてください。


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