人の目で物体を見ると、そこには非常に多くの情報が含まれています。例えば、形状・奥行・色・明るさといったものがあります。しかしマシンビジョンシステムで良く利用されるCCDやCMOSなどのイメージセンサを用いたモノクロカメラで撮像した画像は二次元の数値データしかありまん。撮像エリアを格子状に区切ったX-Yの位置座標とその点の明るさのみで表されます。
よって、人が感じる色もカメラでは明るさの情報に変換されると考える必要があります。物体に反射した光がどのように見えるのか/撮像されるのかは、その光の波長と受け手(人の目/イメージセンサ)の分光感度特性に依存します。つまり受け手の感じる明るさは以下のように表せます。
右図は人の目の分光感度特性(標準比視感度*)と代表的なCCDカメラの分光感度特性です。一般的に人の目で見える光を可視光線と呼び、その波長帯域は380~780nm程度と言われています。380nmより短い光を紫外線、780nmより長い光を赤外線と呼んでいます。
また、カメラの分光感度特性はイメージセンサの仕様書として公開されていますが、標準比視感度とカメラの分光感度では、見える領域と感度のピークが異なることが分かります。
マシンビジョンシステムでは、特定波長の照明を使用する/特定波長の光を透過するフィルタを使用する等の工夫で人には見えないキズや異物の検出も可能です。照明を選定する際には、カメラの分光感度特性と検査対象ワークの分光反射率を把握した上で照明の波長を選択して下さい。
*CIE(国際照明委員会)によって定義された標準的な人の目の感度曲線。
明るさを示す輝度[cd/m2]や照度[lx]などの心理物理量は標準視感度が係数として掛かっている。