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 大震災の影響による電力不足が社会的問題となり、一般照明としてのLED照明が節電・省エネの効果的対策として注目を集める中、マシンビジョンの光源として今や最も多く利用されているのがLED照明である。このLED照明にもいくつか課題がある。明るさのバラツキの管理、周囲温度による明るさの変動、および長期的な劣化に対する管理である。マシンビジョンシステムがますます高度化しており、光源としてのLED照明にも高度な運用管理が求められている。本稿ではLEDの点灯制御方法の見直しと新たな機能により、この課題の解決方法を紹介する。

【3】センシングバー照明で長期の安定

「OPB-Sシリーズ」は、「OPBシリーズ」の優れた光学特性と「FALUX」を継承しつつ、照明にフォトダイオードを搭載したセンシング回路基板を内蔵した高機能版である。これにより自身の輝度をモニタリングすることが可能となる。さらにそのモニタ値からフィードバック制御により約5万時間もの長期の輝度安定が可能となる(図3)

4.1  「FALUX sensing
      (ファルクス・センシング)」で
      輝度のモニタリングと
      フィードバック制御

先に述べた「FALUX」の温度補償回路は時間軸として秒から分単位の変動を抑え、明るさを安定させるものであった。しかしLED照明は数万時間という長期にわたり使われるものであり、長寿命のLED 照明とは言えLED の劣化により4~5万時間で輝度は半減する。この長期にわたる輝度の安定を行うのが「FALUX sensing」である。

「FALUX sensing」は次の3 ステップによって実現される(図4)
①センシング

照明に内蔵したフォトダイオードで輝度を測定
②モニタリング

コントローラ側で輝度の測定値を表示
③フィードバック

輝度の変動を電圧調整により安定化

図3  OPB-Sシリーズ構造図


図4  FALUX sensing

照明の明るさをセンシングし、コントローラの表示パネルに輝度を表示することで、外部機器を用いずとも輝度をモニタリングすることができる。さらには工場出荷時の明るさを維持するために、モニタ値が安定するよう出力電圧を調整するフィードバック制御が可能となる。これにより使用温度範囲内では輝度の変動を1%以下に抑えることができる。また、フィ ードバックは長い延長ケーブル使用時の電圧降下による輝度低下を補正することにも有効に作用する。「FALUX」が内部温度パラメーターによる静的制御とすれば、「FALUX sensing」は複数のパラメーターの変動による輝度変化を、フィードバックにより安定させる動的制御と言える。

照明は従来どおりの2ピンのコネクタを採用し、この2線により電力供給とデータ通信を行う。

4.2  複数照明を同一輝度設定に容易に調整可能

LED 照明は同じ機種でも明るさにある程度のバラつきがあり、これをコントローラの調光設定により調整して使われる。よってコントローラ側で同じ調光値に設定しても、同じ明るさになるとは限らない。同一機種の照明を使う複数装置などで、予め同じ輝度にすることは照度計などを使って設定するほかなかった。

そこで機種固有の基準輝度を内部メモリーに格納し、この基準輝度との比較により複数照明を同一輝度に容易に調整することができるようになった。