OPS-Sシリーズは、照明にフォトダイオードを搭載してLEDの光をセンシングする回路を内蔵している。これにより、自身の輝度をモニタリングすることが可能となる。さらにそのモニタ値から、フィードバック制御により約5 万時間もの長期の輝度安定が可能となる。
先に述べた「FALUX-it」の温度補償回路は時間軸として秒から分単位の変動を抑え、明るさを安定させるものであった。しかしLED照明は数万時間という長期にわたり使われるものであり、長寿命のLED照明とはいえLEDの劣化により4~5万時間で輝度は半減する。この長期にわたる輝度の安定化を行うのが「FALUX sensing」である。「FALUX sensing」は次の3 ステップによって実現される
①センシング
照明に内蔵したフォトダイオードで輝度を測定
②モニタリング
コントローラ側で輝度の測定値を表示
③フィードバック
輝度の変動を電圧調整により安定化
照明の明るさをセンシングし、コントローラの表示パネルに輝度を表示することで、外部機器や測定器を用いずとも輝度をモニタリングすることができる。さらには工場出荷時の明るさを維持するために、モニタ値が一定となるよう出力電圧を調整するフィードバック制御が可能となる。これにより長期の使用でも輝度の変動を1%程度に抑えることができる。また、フィードバックは長い延長ケーブル使用時の電圧降下による輝度低下を補正することにも有効に作用する。「FALUX-it」の温度補償が内部温度パラメータによる静的制御とすれば、「FALUX sensing」はいくつかのパラメータの変動による輝度変化を、フィードバックにより安定させる動的制御といえる。
照明は従来どおりの2ピンのコネクタを採用し、この2線により電力供給とデータ通信を行う電力線通信を実現している。
LED照明は同じ機種でも明るさにある程度のバラつきがあり、これをコントローラの調光設定で調整して使われる。コントローラ側で同じ調光値に設定しても、同じ明るさになるとは限らない。これまで複数装置で同一機種の照明を使う場合、あらかじめ照明を同じ輝度にするために、照度計など外部の測定器を使って設定する他なかった。そこで絶対輝度を照明の内部メモリに格納し、この絶対輝度が同じ値になるように調光することで、複数の照明を同一輝度に調整することが容易にできるようになった。