LEDスポット照明は主としてテレセントリックレンズに挿入して使用されるため、互換性のある先端の発光部の形状から筺体全体までほぼ業界標準的に同じような設計である。内部のLEDはパワーLEDと呼ばれる順電流が数百mAとなる超高輝度タイプが1 個実装され、この点光源をロッドレンズ等で先端φ 6~7の発光面から出射するという構成である。
マシンビジョン用のLED照明では、12Vもしくは24Vでの駆動が一般的である。LEDの順方向電圧が約2V~4V 程度であり、リング照明やバー照明などではLEDを多数使うため、数個を直列で接続して制限抵抗で電流値を調整するためである。
スポット照明の場合は、LED1灯という構成から定電流駆動が標準となっている。LEDが1灯のため、12Vの駆動では抵抗でかなりの電力を消費することになり、小さな筐体のスポット照明ではその発熱が大きな問題となる。この発熱を抑えるために抵抗を照明に内蔵しない定電流駆動を選択したわけである。これによりスポット照明のみ専用の定電流電源を使うことになった。
定電流駆動は専用電源となるため、他のリング照明やバー照明などで使われる12VのPWM 制御電源と併用することができず、電源をそれぞれ別々に用意する必要がある。
スポット照明とリング照明等をまとめて外部から調光制御を行いたいときなどは、スポット照明に抵抗ボックスを中継し、PWM制御の電源で駆動することもできる。ただし抵抗ボックス分の追加費用が発生するとともに、装置搭載などで設置固定に手間が掛かる。抵抗ボックス接続時の消費電力は10W 程度となり、定電流時の3倍となる。
LED の明るさは電流にほぼ比例するため、定電流駆動で電流値を調整して明るさを変えるのは理想的のようにも見える。しかし赤色LEDにおいては、温度上昇によって発光効率が低下し輝度が30%も低下する(図2)。白色や青色では5%程度の低下となる。電圧固定のPWM点灯では、発熱によってLED の順電圧が低下することで順電流が増加し、結果的に輝度が補正される方向に働く。よって定電流制御の方が温度上昇による輝度の低下は大きくなる。