赤外線は電磁波に属する光の一種で、0.8~1000μmの長さの波長を指します。
電磁波は波長の長さによって性質が大きく異なり、赤外線の他にX線、紫外線や電波など、様々な用途で使用されています。
放射率は赤外線エネルギーの放射割合を0~1で表しています。
物体の放射率は完全黒体(放射率1)を基準として導きだしているので、1に近づくほど感度良く温度測定が可能です。
完全黒体とは
あらゆる光を完全に吸収し、外部からの光の反射は、まったくない物体。
放射率の確認方法
放射率は素材ごとに異なります。感度良く温度測定をするには、放射率の一番高い波長を測定波長とする必要があります。
波長 |
1μm |
5.1μm |
8〜14μm |
放射率 |
0.35 |
0.05〜0.25 |
0.05〜0.2 |
|
┗ほかの波長に比べて放射率が高い |
※素材の表面状態や温度により、実際の放射率は異なります
鉄の場合では、放射率の一番高い波長は1.0μmとなります。
↓
1.0μmの波長を検出する非接触温度計を選定すれば、感度良く温度測定が可能
汎用型の非接触温度計は8~14μmの波長を使用しておりほとんどの物体を測定可能ですが、上記のように金属を測定する場合は短い波長で検出すると安定した測定が可能です。ほかにも高温金属・光沢金属・フィルム・ガラスなどを測定する場合は、それぞれに適した波長で検出すると安定した測定が可能です。

透過率が高いワーク
背景物体の温度の影響を受けてしまう

透過しないワーク
安定して温度測定が可能
透過率が低いと背景物体の温度の影響を受けにくいので
安定して温度測定ができる
ガラスやフィルムを測定する場合は、ガラス用・フィルム用の温度計を選定すれば背景物体の影響を受けない測定が可能です。
反射率が高い物体は他の熱源の赤外線エネルギーを反射させるため、温度計は周囲の熱源の影響を受ける場合があります。
反射率が低いと周囲の熱源の影響を受けにくいので
安定して温度測定ができる
光沢金属を測定する場合は、光沢金属用の温度計を選定すれば熱源からの反射の影響に強い測定が可能です。
あらゆる物体は、温度や素材によって異なる波長の赤外線を放出しています。
温度による波長と赤外線エネルギーの関係性は、以下のグラフの通りです。
低温域では、短波長の放射エネルギーが全くありません。
100Kでは10μm以下の波長は全く放射されていないことがわかります。
高温域では、短波長の放射エネルギーが強く、長波長が弱くなります。
10000Kでは0.2μmが最も放射エネルギーが高く、波長が長くなるにつれて放射エネルギー弱くなっています。
あらゆる物体は、温度や素材によって異なる波長の赤外線を放出しています。そのため、赤外線を検出する非接触温度計は、測定に適した検出波長を選択しなければなりません。更に、大気中には赤外線を吸収してしまう水蒸気(H2O)や炭酸ガス(CO2)が存在し、これらの影響を受けにくい検出波長を合わせて選ぶ必要があります。オプテックスの低温測定用の非接触温度計は、低温測定に適した長い波長帯の中で、水蒸気や二酸化炭素の影響が少ない「大気の窓」といわれる8〜14μmの波長を検出しています。
ただし、放射エネルギー量が小さく赤外線を反射する材料(各種光沢金属)や、赤外線を透過する材料(樹脂フイルム、薄いガラス等)の温度測定は8~14μmの波長では困難なため、専用波長を搭載した各々の材料に適した波長の『特殊波長温度計』を使用します。
・非接触温度計
オプテックス・エフエーの非接触温度計は、弊社のトレーサビリティ体系に基づき、国家標準にトレースされた標準器で校正を行っております。
ご購入後の定期校正も弊社にて行っております(有償)。
定期校正は、1年ごとの校正をお勧めしております。
また、校正証明書類をお求めの場合は「校正証明書」「校正成績書」「トレーサビリティ体系図」3点一式でご提供(有償)しております。