図1は三角測距の原理図である。
光源には主に赤色半導体レーザダイオード(630~670nm)が使用される。これを投光レンズを通し、測定対象物に照射する。レーザ光は測定対象物上で拡散反射(あらゆる方向への反射)し、その一部が受光レンズに入光し、受光素子上に集光される(実線)。
ここで測定対象物が光源に近づくと、同じように反射光は受光素子上に集光されるが、その位置は変化する(点線)。受光素子上の集光位置Xと測定対象物までの距離Lの間には、
L / F = P / X
の関係が成り立つので、受光素子上の集光位置を検出すれば、測定対象物までの距離を求める事ができる。
またレーザ光が正反射する測定対象物(ガラス、鏡)においては、測定対象物への入射角と反射角がほぼ等しくなるように設置することで測定が可能となる。
受光素子はPSD(Position Sensitive Detector)やリニアイメージセンサが使用される。その大きさはある程度制約があるものの、投受光レンズ間距離Pや受光レンズ-受光素子間距離Fを設計上自由に決めることができる為、測定範囲数mmでサブミクロンの繰返精度(分解能)を持つものから、繰返精度は数十ミクロンまで低下するものの、測定範囲が1mに及ぶものまで、同一の原理と処理回路で実現する事ができる。
従来は受光素子にPSDが用いられていた。これは、PSD素子の両端に配置された電極から、集光位置に応じた比率で微小信号が出力されるので、これを増幅し、その比率を計算することで、集光位置を求めるものであり、測定対象物からの受光強度によりその増幅率を制御し、測定対象物のレーザ光の反射量の大小に対応していた。
しかしながら現実の測定対象物はおよそあらゆるものが要求され、拡散反射物でも反射量が高いもの(白色)から低いもの(黒色)、正反射成分が多いもの(金属)、さらにそれらの角度を含めると、必要なダイナミックレンジは数万から数十万倍におよび、これを増幅回路で対応すると、高増幅領域ではSN比の悪化により繰返精度が低下し、さらには測定できない場合や大きな誤差が発生する場合も多々あった。
ただしPSDおよびその処理回路は非常に安価に構成できる為、現在でもローエンド品には採用されている。
受光素子にPSDに変わりリニアイメージセンサが使われるようになり、その性能、機能がきく向上するようになった。
くわえて電子シャッターやサンプリング周期の制御により、光の蓄積時間を自由にコントロールできるようになり、数十万倍のダイナミックレンジが容易に得られるようになったことも挙げられる。これにより、極めて微弱な反射光しか得られない測定対象物でも測定が可能になり、かつ蓄積時間を長くした場合でも増幅回路のような回路ノイズの増加がなく、極めてSN比の高い(=繰返精度の高い)距離測定が行えるようになった。
また、ガラスのような透明体を測定した場合、反射光は透明体の表と裏、それぞれから得られる為、それを利用しその厚みを測定したり、2枚のガラスのギャップを測定する機能も実現できるようになった。